『ITEGピッチ』やってみた
- 2023年10月31日
- 読了時間: 5分
更新日:2月26日
きっかけは「能動的な発信」から得られる気づき
ITEG(企業IT力向上研究会)は、異業種の企業が集まるITに関するコミュニティです。さまざまな研究テーマを決め1年間の期間を決め「部会」という活動を行っています。 その部会のひとつパラレルワーク&パラレルキャリア部会は、「副業(パラレルワーク)という働きかたが、キャリア形成を通して個人の成長に繋がるのではないか?」を仮説として、部会活動をパラレルワークのはじめの一歩とする実践形式の部会です。そのパラレルワーク&パラレルキャリア部会のディスカッションのひとコマから気づきは生まれました。 「内側に籠ったディスカッションよりも、外に向けたプレゼンテーションのほうが成長の幅は広がるんじゃないか?」 ITEGは年間活動であるが故に、年に2回会員全員に向けての報告会の場があります。そこでのプレゼンは、他の会員からのフィードバックを得られる機会であるだけでなく、部会活動の成果を個人の考えとしてまとめ発信する能力を養う場でもあったのです。 そのような気づきを、年2回の報告会だけでなく、ライトに体験できる場はつくれないか、という発想から生まれたのが「ITEGピッチ(PITCH)」なのです。
「ピッチ」とは?
もともとITEGではディスカッションが開催される各回のオープニングで近況や思っていることなどを相互でブリーフィングする「ライトニングトーク(以下LT)」も行われていました。でも、今回のキャリア形成を目的とした特別なプレゼンの場は、LTよりも少し重みがあったほうがよいと意見があり、ネーミングを再考。。。 そこで出てきたのが、ビジネスでよく使われる「ピッチ」というネーミングでした。本来「ピッチ」とは、投資家に向けて新ビジネスのアイディアや企画を発表する短いプレゼンテーションのことを指します。我々の意図も「少人数&短時間向けに、公式的なプレゼンの場」というシチュエーションは合致していましたので、ネーミングは「ピッチ」に決定!

個人の成長を最大限に促す「ピッチ」とは
次に考えなければいけないのが、仮説として持った「外に向けたプレゼンテーションは個人の成長に繋がる」をどのように実現するか?です。一般的なプレゼンイベント(セミナー形式みたいなのを想像してください)では、主催者がいて、その主催者が成果を得たいことが背景にありながら、聞き手(聴講者)と話し手(講演者、主催者とイコールもあり得ます)がプレゼンテーションを行いますよね。この一般的な形式だと、講演者のスキルは聴講者のスキルよりも高い必要があり、聴講者の成長は実現しても、講演者の成長は期待できません。

我々がピッチとして提供する場は、講演者のスキルを向上させなければいけません。そこに従来型のプレゼンイベントと同様に聴講者のスキルも向上すればなお良しです。そんなやりとりから、ITEGならではのピッチの設計は、「話し手が持ち帰れるテーマ・課題の設計」を軸に「相互のディスカッション」から成果を持ち帰る新しいスタイルを導きだしました。

そして記念すべき「第一回 ITEGピッチ」開催
入念な準備を経て、第一回ITEGピッチを2023年8月22日に開催しました。話し手はIIMの長浦さん、パラレルワーク&パラレルキャリア部会の石松さんと、私(水野)がサポーターです。そしてテーマを、人材育成における「一人前の定義って?」に定めました。

聞き手側は、事前にパネラーをお願いした4名+聴講者5名をあわせ9名の参加者で開始されました。長浦さんの所属するIIMの教育方法や現状の悩み(人的リソースを確保するも戦力アップになかなか繋がらない)を共有いただきました。 そしてパネラーのみなさんからは、こんな意見がありました。
「与えて育つ」のではない、世界の標準は「なぜそれが必要か」を提示して、 自身がそれに向かい成長させている
カネ/ポジション/仕事 何を与えて動機づけとするかも必要
当社も「キャリアは自分で作れ」と言われている。しかし、それをサポートする仕組みは与えられている
学校教育の充実も必要では、インターンなどの機会で採用者と会社との理解を深めるのも重要
一人前とは、「自分で定義」させるもの、会社は最低限の提示だけをすればよい
店舗経験など、一定の標準キャリアを決めることも必要
上司からの「お前に期待しているぞ」のメッセージがモチベーションにつながる
職種の違いや、ジュニアorシニアの違いも考慮する必要がある。専門性だけを追い求める人材も、報われる世の中になってきた。
あえての特別扱いも時には効果あり、愛・期待・信頼 を形で示す
選抜メンバーを英才教育するプログラムがある企業もある
会社の価値観に共感する人を選りすぐって育成しないと非効率
「ルーチンしかやらない人」と「つきぬける人」は別々に考えたほうがいい

(まとめ)ITEGピッチやってみて
第一回のITEGピッチ、得られるものや気づきは多かったという意見を多数いただきました。
同じようなテーマに対する他社の経験を聞くだけで非常に勉強になった。また、自分の中で考えていたことであっても、他者から聞くことでその考えを客観的に評価するきっかけになった。
今回のテーマ「一人前の人材とは」では、日本企業固有の共通点がありそう。その意味で海外での取り組み例は、日本独特の解決しなければならない方向に示唆があった
例えば、育成カリキュラムにおいても、それを作り(セミナーなどを)受けやすく選べるようにするだけではダメで、伴走するような方法が必要とわかった。(制度も含め)
ただし、育成側が労力を割くことも避けられない。労力に見合った成果が出しにくいと頓挫してしまう。成果としてとらえるものが何かを、決めたうえで進めることが重要
ピッチ自体の運営については、以下のような感想をいただきました。
貴重な議論を振り返るべき。録画共有は必須。
話し手側の背景の部分、少し長かった?
相談者(話し手)として得られることは多かったが、経験をシェアしてくれるパネラー(聞き手)のみなさんに得られるものはあったのだろうか?
参加した人が、成果としてポイントやバッジなどの付与でITEG活動として見えるようにしたほうがよい
持ち帰れるものがなにかあったほうがよかったかもしれない(相互で成功エピソードを共有するなど)
今回の気づきをとりいれ、次回のITEGピッチに向けて改善していきたいと思います。



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